【宅建】ごろあわせ さいきょうそうび ⅠⅠ
  • ごろあわせさいきょうそうびⅠⅠ TOP
  • 宅建業法
  • 住宅瑕疵担保履行法
  • 景品表示法
  • 民法(総則)
  • 民法(物権法)
  • 民法(債権法)
  • 民法(親族相続法)
  • 不動産登記法
  • 都市計画法
  • 建築基準法Ⅰ宅建士
  • 建築基準法Ⅱ建築士
  • 区分所有法
  • 国土利用計画法
  • 農地法
  • 宅地造成等規制法
  • 土地区画整理法
  • 借地借家法
  • 地価公示法
  • 税金
  • その他関連知識
  • その他のごろあわせ
  • 単位換算【試験外】
  • オススメサイト
  • 利用規約

法定地上権

民法(担保物権) 
​重要度
 ★★★
次を見る
『 封建的 どいつも(俺を)立てろで デート後 軽蔑 』
   法定地上権 同一所有者   建物が存在 抵当権設定後 競売 別々の所有者 
画像
Michael SchwarzenbergerによるPixabayからの画像
法定地上権
法定地上権は以下の条件で成立する
❶抵当権設定時に土地上に建物がある
❷その土地と建物の所有者が同一
❸競売で土地と建物の所有者が別になる


法定地上権とは
 法定地上権は法律が自動的に設定する地上権(土地の賃借権の上位互換バージョンみたいな権利)です。(地上権が何かについてはこちらに説明があります。)

何だ、この意味不明な発動条件は
 しかし、競売になれば何でも法定地上権が成立するわけではありません。
 ❶❷❸の3つの条件がそろう必要があります。しかも、悪いことに意味不明です。

建物を取壊しから守るエアバッグ
 そもそも「法定地上権」の目的ですが、これは建物を取壊しから守ることです。

 今でこそ人口減少で空家の増加が問題になっていますが、大量の資源や労働力を投入して建築した建物が取り壊されてしまうことは社会的にも無視できない損失でした。
 そこで、エアバッグが自動車が衝突すると自動的に膨らんで乗っている人を守るように
、建物が競売で取壊しされそうな場合に、地上権が自動的に設定されて土地に載っている建物を守る「法定地上権」のルールが導入されました。

 逆に言えば、建物が安全な状況では法定地上権は発動しません。

❸土地が無ければ建物は存在できない
 そう考えると、❸の「競売で土地と建物の所有者が別になる」は何となく分かります。
 当たり前ですが、建物は土地なしでは存在できないからです。

❷他人の土地上の建物には何かの権利が
 「だったら、❸の条件だけでいいだろ。」と言いたいところですが、土地と建物の所有者が別人の場合には(不法占拠でない限り)、建物の所有者は土地を利用する何かの権利を持っているはずです。

 例えば、借地契約を結んでいるとか、親の土地にタダで建物を建てさせてもらっている(使用貸借)等の、何かの権利があるはずです。

 しかし、❷の「土地と建物の所有者が同一」の場合はそうはいきません。
 自分の土地に建物を建てるために自分と賃貸借契約を結ぶことはできないからです。
 結んだ瞬間に「混同」(権利者と義務者が同一人になると権利と義務がプラスマイナスでゼロになる)で消滅してしまいます。
 ということは、競売で土地と建物の所有者が別々になると、土地を利用する根拠が何もない、極めて危険な状態になります。
 これが❷の「土地と建物の所有者が同一」が発動条件になっている理由です。

❶いくら建物が大切でも限度がある
 しかし、いくら建物を取壊しから守らなければならないといっても限度はあります。
  と言うのは、法定地上権が成立すると、土地の売却価格が非常に安くなるからです。
 法定地上権が成立した土地を競売で落札しても、自分が建物を建てることはできません。
 こうなると、マイホームを建てたいエンドユーザーの人たち(一番土地を高く買ってくれる)は競売に参加しません。

 さらに、裁判所が決める法定地上権の地代は安いのが普通で、地代目当ての不動産投資家も安値でしか買ってくれません。


 抵当権の担保にした時には更地でも、後から建てられた建物のせいで法定地上権が成立して、貸したお金が少ししか回収できないかもしれない。
 これでは、銀行は土地を担保にお金を貸せなくなります。
 そうなると、企業が事業を拡大するために工場用地を購入しようとしても銀行から資金を借りられなくなります。
 その結果、経済が発展せず、雇用も増えず、却って社会的な損失が大きくなります。