建物買取請求権
『 更新せず 購入強要 フリー以外 』
借地契約更新なし 建物買取請求権 債務不履行以外
建物買取請求権
借地契約更新拒絶の場合 建物買取請求権が発生 (債務不履行による契約解除の場合等は対象外) 借地権の更新がない(地主に更新を拒絶された)場合には借地権者は地主に建物を時価で買い取ることを請求できます。 買取請求によって売買契約は自動的に成立し、地主に拒否権はありません。(形成権) 但し、合意解除や債務不履行による契約解除の場合には建物買取請求権は認められません。 なお、建物買取代金と土地の明渡しは同時履行の抗弁権が成立し、建物代金が支払われるまで土地を明け渡さないことができます。 借地権の更新拒絶には正当事由が必要ですが、地主が自分の息子の為に家を建てたいので土地を返して欲しい等の事情で正当事由ありとして借地権の更新が拒絶される場合もあります。 地主の方がそれだけ土地を必要としていたということではありますが、借地権が更新されないとなると借地権者は借地上の建物を失うことになります。 (正当とはいえ)地主の事由により借地契約が更新されず、借地権者は建物を失うことになるのだから補償しろという理屈です。 (建物がなければ法定更新や請求による更新は認められないので「正当事由」はそもそも問題になりません。) ( ⇒ 借地権更新と建物の有無 ) ※逆に言えば、地主は土地を貸して賃料をもらい続けたいのに借地権者の側から更新を拒絶されたり、双方の合意で解除したり、賃料の不払いで解除する場合にはもはや地主側の都合(事由)による取壊しではないので建物買取請求権は認められません。 こうすることで借地権者は投下資本を回収できます。また、建物の残存価値が高いほど買取費用も高額になる為、その出費に見合った事情がなければ更新を拒否しないというインセンティブが働きます。 その結果、まだ利用できる建物が取り壊されるという社会的な損失が抑えられます。 ・・・というのが教科書的な内容です。 しかし、少子化と住宅の供給過剰で建物は必ずしも価値のある財産ではなくなりつつあります。しかも、資源のリサイクルや環境保護重視の流れで建物の解体と廃材の処分費用は高額化しています。 要するに、借地期間満了後に残っているような古い建物は実質的にマイナス財産(いわゆる「負動産」)である場合が少なくありません。 その結果、建物買取請求権を行使することで建物代金を得た上、解体費用まで地主に押し付けることができるという結果になります。(建物買取請求権は形成権なので地主に拒否権はありません。) 地主としては借地権者側から契約解除を切り出すのを待って土地を貸し続けるか、賃料の滞納に乗じて債務不履行による契約解除をするほかなさそうです。 (もっとも、賃貸借契約には信頼関係破壊の法理が適用されるので1カ月や2カ月の滞納では解除できません。) (建物買取請求権)
第十三条 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。 |
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