消費貸借の成立
『 葡萄酒を口で消費には
同種物 口頭 消費貸借 物が必要 』
要物契約
書面によらない消費貸借契約の成立
同種の物を後で返すことを約束して 貸す物を引き渡すことで成立します。 消費貸借は「消費」と付いていますが、これは貸した物を消費してしまって、同じ種類の物(お金を借りたらお金を、お米を借りたらお米)を返すという意味です。 現代では消費貸借と言えば「金銭消費貸借」です。カードローンや住宅ローンなどのいわゆる借金です。 お金を借りた人はそのお金を消費して服や住宅を購入し、後で借りたお金を返済します。 しかし、返済する紙幣は借りた紙幣とは違う紙幣です。ですが、「これは当行がお貸しした1万円札とは記番号が違います。債務不履行です。」とはなりません。 それだと、家を買わずに札束を毎日眺めているほかありません。 ですが、記番号がゾロ目の超レア1万円札をコレクターから「ゾロ目の珍しい1万円札だから大事に扱ってくれよ。」といって借りた場合、このお札で飲みに行って別の1万円札を返したりしたら訴えられます。 要するに、消費貸借と言うのはモブ財産(コモディティ)用の貸借と言えます。 ところで、現代では「金銭」消費貸借が主役になっていますが、この法律ができた頃には金銭以外の消費貸借も普通に行われていました。 今では何か足りない物があればスーパーやコンビニですぐに買うことができますが、昔はそうはいきません。 米びつが空になったらお隣に米を借りに行き、来週買い出しに行って来たらその米で返すという牧歌的なイメージです。 お隣さんも「困ったときはお互い様」の精神で親切で米を貸してくれます。 ところが、「貸してあげる。」と言ったお隣さんも米びつをよく見ると今日の晩ごはんの分しか米がありません。 もしも消費貸借が要物契約でなく諾成契約(当事者の合意だけで契約が成立)だとすると、お隣さんが晩ごはん抜きになっても米を引き渡すように請求できることになります。 要物契約は契約の成立にわざとハードルを設けて、親切心で約束した人がウッカリで窮地に陥ることがないように設計されているとも言えます。 しかし、現代ではビジネスとして有償の(金利の支払いを要求する)金銭消費貸借が主流であり、面倒な要物契約は時代に合いません。 もしも銀行が、金銭消費貸借契約した後で「ウッカリしてました。やっぱりムリです。」済んでしまったら取引先の方が窮地に陥ってしまいます。 そこで、書面で契約するようなビジネスとしての消費貸借については諾成契約にし、口頭での契約については今まで通りの牧歌的な要物契約のままとしました。 (消費貸借)
第五百八十七条 消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。 |
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